富士フィルム、動物検体検査のモノリスを買収

富士フイルムホールディングスは、動物の検体検査を手掛けるモノリス(東京都調布市)を買収する。武田薬品工業傘下で創薬研究用試薬の和光純薬工業にも近く買収を提案する。古森重隆会長兼最高経営責任者(CEO)は成長を託す医療事業に注力する姿勢を鮮明にしている。写真フィルム中心の経営からの脱皮を終え、「医療の富士フイルム」への転換が仕上げ期を迎えようとしている。  モノリスはペットの血液検査などを動物病院から受託するサービスを展開しており、8月1日に100%子会社にする。富士フイルムは動物病院向けに簡易血液検査装置を販売している。装置とサービスをまとめて手掛けて事業を広げる。  買収額は20億円前後とみられ、富士フイルムの経営に大きな影響を及ぼす案件ではない。それでもこの日の発表は強いメッセージ性を帯びた。今年度のM&A(合併・買収)の第1号案件がやはり医療。武田が来月実施する和光純薬の入札にも応じる方針でこの分野に専心する意向が明快だ。医薬品や再生医療に大型買収を集中させてきた近年の傾向は今後も続く。  2000年に社長に就いた古森氏は当初、富士ゼロックスの連結子会社化や液晶パネル部材の増産投資に多くの経営資源を割いた。利益の3分の2を稼いだ写真フィルムが目に見えて縮小する中、経営を安定させることに全力を傾けた。  写真フィルムのリストラに目鼻が付いたころ、成長を目指して投資する分野として選んだのが医療だった。08年には将来性を見込んだ富山化学工業を赤字だったが買収。エボラ出血熱にも使える「アビガン」の高い評価は14年に富士フイルムホールディングスの株価を押し上げた。  超音波診断装置の米ソノサイトのように着実に稼ぐ企業の買収と並行し、再生医療やiPS細胞では大きく開く市場を先物買いして安定と成長を両立できるとみた。デジタルカメラや刷版、複合機は大きな成長が見込みにくく、フィルムで化学技術を蓄積していた富士フイルムにとって医療は相乗効果も大きい。ヘルスケア事業の売上高は16年3月期に4235億円と5年前に比べ6割増えている。  東芝メディカルシステムズの買収に名乗りをあげたのは安定を求めて医療事業をスケールアップするのが狙いだった。キヤノンにさらわれたのが痛くないわけではないが、結果的に約6000億円の手元資金(16年3月期)を残した。この原資を活用し、リスクを分散しながら医療分野への投資を続ける。  古森氏は6月1日付で米国でのM&Aの実務や買収先の融合作業を担ってきた助野健児氏を社長兼最高執行責任者(COO)に就けた。10年かけて医療シフトを進めてきた最近の古森氏は「総合医療メーカーになりたい」と周囲に漏らしている。次期CEOの育成も視野に入れながら、古森氏はさらにM&Aのアクセルを踏む。